時代とともに歩み続ける松浦商店
松浦商店は創業以前、名古屋市の大須にて八千久(やちく)という料理旅館を営んでおりましたが、当時の国鉄(現在のJR)より依頼をいただき、大正11年に名古屋駅を通過する旅行者のためのお弁当、つまりは駅弁の販売をスタートいたしました。名古屋の駅弁の歴史は、95年の時代の変遷と共にその時勢に則してお弁当の提供を続けてきた松浦商店の歴史と言っても過言ではありません。例えば、戦時中はお米が大変貴重であったため、修学旅行の学生さんにお米1合を用意して頂きそれとお弁当を交換したり、さらに物資が不足していた時にはお米の代わりにおからを入れて販売するなどしたこともございました。そういった時代の流れに合わせながら、厳しい時代も休むことなく食を提供することで、皆様から信頼とご愛顧を頂いてまいりました。
受け継がれているもの
35年以上前ではありますが、社員のアイデアでお客様に大変喜ばれたひとつのエピソードをお話いたします。
当時、名古屋で短時間だけ停車する大阪から長野方面への列車に、スキーへお出かけになるお客様がたくさん乗車しておみえでした。この事を知っていたある社員の方が、寒い冬にスキーへ行くお客様になんとかおいしいお弁当を提供する事が出来ないかという提案をしました。そこで、その時間へ向けた人員の調整・お弁当の製造時間の調整等をして、わずかな停車時間の間に出来たてのお弁当を迅速に提供する事を始め、お客様から大変評判を頂き、多くのスキーへ行くお客様に喜んで頂けるようになりました。このエピソードのように、どうすればお客様に喜んで頂けるのかを社員同士で考えるという事は、この時代からもずっと受け継がれていることでもあります。
もとより料理旅館であったことから、煮物と焼き魚にはお客様よりご定評を頂いておりますので、松浦商店ではこれまで築きあげた歴史や経験を大切にしながら、時代とともに新しい取り組みを積極的に実施し、皆さんに愛され続ける味を守り続けてまいります。